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熊本県産あさり偽装から考える、『テロワール』の概念
2022/02/06
≪熊本県産あさり偽装から考える、『食』の価値と心構え≫
https://www.yumerindo.com/news/166892
こちらの続きの記事になりますので、まずはこちらを参照されたい

調理人で、「○○牛は肉質が良い」と
饒舌に語る方とお会いしたことがあります
ただその方は、その牛肉の産地に赴いたことはないらしく
おおよそ、生産者や、ましてや肥育過程の特徴など
知る由もないのでしょう

普段から、食材を調理加工し携わることを生業としている方でさえ
原産地の関心はその程度であるならば
一般消費者が、関心を持つのは稀なことでしょう

日本人の食へのこだわりと品質の高さは、
大事な「和食」という文化を産み出しました

昨今日本では、物価のデフレから脱却することができず
特に食における値上がりには、かなり過敏に国民が反応し
「カップ麺」などの加工品に対しての企業の値上げも
報道で取り上げられるほどです

値上げが許されず、年々上がり続ける経費の増大に対応するのに
企業の自助努力だけでは、いつか限界がきます
だからこそ、今回の熊本県産のアサリ産地偽装問題にような
愚策をこうじるまでに至ったのではないかと感じるのです

繰り返しますが、産地偽装問題に関しては許される行為ではありませんし
決して擁護する意図をもってこの記事を書いている訳ではありません

しかし、私たちの意識や関心のあり方が変わらなければ
似たような産地偽装問題はどこかで再発するのではないかとも考えるのです


【テロワールという概念】

テロワールという言葉は、ワイン、ソムリエの勉強をされた方なら
一度は耳にしたかと思います
もともとは「土地」を意味する言葉で、
現在は、コーヒー豆やワイン用のブドウなどの
作物を育てるにあたっての土壌や、気候、地質、または人間
それらを総合的に表した言葉です

私自身、最初「テロワール」という言葉を知り
咀嚼するまでに時間がかかったのを覚えています

昨今はコーヒーにおけるサードウェーブのように
大量生産から、こだわり品種
そして生産者へと、
関心により、高い品質を求めていく傾向が強くあります

日本の食文化もまた
一人一人がテロワールに対しての理解と関心を持ち続ける

でなければ、産地表記による安易な信仰と付加価値を付ける行為に
終わりが来ないのではないでしょうか

(著 小林慎太郎)